歩行器を使い始めて不安になる瞬間

介護が始まったとき

歩行器を導入したとき、多くの家族は「これで少し安心できる」と思います。
転倒の心配が減り、移動が楽になるはず。そう期待して選ばれることがほとんどです。

ところが、使い始めて数日すると、
「前より怖がっている気がする」
「動きがぎこちなくなった」
と感じる場面が出てくることがあります。

実はこれ、現場ではとてもよくあることです。
歩行器は“使い始め”のタイミングで不安が出やすい福祉用具でもあります。


使い始めに不安を感じやすい理由

歩行器を使い始めて不安になる理由のひとつは、これまでと体の使い方が大きく変わることです。

それまで杖や家具につかまりながら歩いていた方にとって、支えが「前にある」状態は思っている以上に戸惑います。
歩行器を前に出すタイミングが分からず、体が置いていかれるような感覚になることもあります。

また、歩行器の高さが微妙に合っていないケースも少なくありません。
見た目では問題なさそうでも、少し低いと前かがみになり、少し高いと腕に力が入りすぎます。

その結果、
「ふらつく」
「怖い」
という感覚につながってしまうのです。


よくある失敗・勘違い

使い始めの不安が出たとき、家族がつい考えてしまうのが、
「この人には歩行器が合っていないのでは?」という判断です。

ですが、不安が出ること自体は失敗ではありません。
むしろ、最初に不安を感じるのは自然な反応とも言えます。

もうひとつ多いのが、
「慣れればそのうち大丈夫になるだろう」と、そのまま様子を見てしまうことです。

不安の原因が高さ調整や使う環境にある場合、何も変えなければ不安は減りません。


不安を減らすための考え方と工夫

まず大切なのは、「怖いと感じていること」を否定しないことです。

「大丈夫だから使いなさい」ではなく、
「最初は怖いよね」と気持ちを受け止めるだけで、本人の表情が和らぐこともあります。

次に確認したいのが、歩行器の高さと使う環境です。
廊下が狭すぎないか、カーペットや段差に引っかからないか、曲がりにくい場所はないか。

最初から家の中すべてを歩こうとせず、短い距離から使ってみるのも効果的です。
「ここまでは安心して歩けた」という体験が、不安を少しずつ減らしてくれます。


まとめ|不安は失敗ではない

歩行器を使い始めて不安になるのは、決して珍しいことではありません。

それは「合っていない証拠」ではなく、調整や工夫が必要だというサインであることがほとんどです。

歩行器は、正しく使えれば「動ける安心」を支えてくれる道具です。
使い始めの戸惑いを、失敗ではなくスタート地点として捉えてみてください。

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